内科医ゆらの育児ブログ

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健康食品やサプリメントによる健康被害

小林製薬の紅麹を接種後に死亡者がでたことで、健康食品・サプリメントを定期的に摂取されている方は不安に感じているかもしれません。

もちろん全ての健康食品やサプリメントが有害というわけではないですが、安全性に対する評価が十分でないサプリメントにはリスクも大きいです。

この記事ではサプリメントによる健康被害や飲む際に注意することなどをまとめます。

 

 

健康食品・サプリメントとは

よく健康食品、サプリメントという言葉を目にしますが、実は定義がはっきりとしていません。

そのため一般的には通常の食品から、菓子や飲料、医薬品と類似した錠剤・カプセルなど多岐に渡って健康食品、サプリメントと呼ばれています。

最近の調査では約3割の人が毎日健康食品やサプリメントを利用しており、過去の利用経験も含めると約8割が利用したことがあるといわれています。

また幼児においてもビタミン・ミネラルなどのサプリメントの利用者は15%とされており、非常に身近な存在といえます。

国立健康栄養研究所より

トクホ(特定保健用食品)との違いは?

トクホ(特定保健用食品)は消費者庁が商品ごとの保健効果や安全性などを審査し、承認した食品です。

基本的には食品に対して医薬品のような身体への影響を記載することは認められていませんが、例外として特別用途食品、特定保健用食品、栄養機能食品では限られた範囲で保健機能や栄養機能を表示することが認められています。

今回の紅麹は2015年に保健機能食品に追加された機能性表示食品に分類され、国の審査はなく消費者庁への届出だけで表示可能となっています。

厚生労働省日本医師会・国立健康栄養研究所作成

健康食品・サプリメントに副作用はある?

健康食品・サプリメントは医薬品と違って副作用はない、もしくは少ないと思われている方も多いと思いますが必ずしもそうではありません。

1988-2009年までの調査では全身に様々な副作用が報告されており、特に肝臓や皮膚への副作用が多いことがわかります。

アナフィラキシーのような重篤なアレルギー反応も医薬品と同様に起こりえます

健康食品・サプリメントによる健康被害 名城大学薬学部より

また副作用による健康被害はほとんどが軽快しておりますが、悪化や死亡といった例も報告されています

健康食品・サプリメントによる健康被害 名城大学薬学部より

健康食品・サプリメントの問題点

先にも少しあげましたが、健康食品やサプリメントの一番の問題点は医薬品と異なり安全性や有効性の試験が実施されていないことだと思います。

有効成分が何種類も書かれていても、実際には効果が得られないほどの微量しか入っていないこともあります。

またあくまで食品として扱われているため、自由に個人の判断で簡単に購入することができます。

個人で判断しなければいけない分、摂取する場合にはより慎重に考える必要があります。

健康食品・サプリメントは効果がないからやめた方がいい?

健康食品・サプリメントに全て効果がないかというとそうともいえません。

例えば葉酸サプリメントに関しては妊娠前から妊娠前期の妊婦が葉酸を摂取すると、出⽣児の神経管⽋損症が減る可能性があるという研究結果があります。

サプリメントを飲んだ方が良いかお悩みの方はかかりつけの医師に相談してみてはいかがでしょうか。

注意すること 

  • 健康食品・サプリメントの中には医薬品との相互作用で効果を強めてしまったり、逆に弱めてしまうことがあります。

定期的に病院などから処方を受けている薬剤がある方は必ず主治医や薬剤師に確認するようにしましょう。

  • 過剰摂取は絶対に行ってはいけません。(そもそも過剰に摂取して効果が出るというデータはないはずです)
  • サプリメントを複数摂取されている方は成分が重複していないか確認しましょう。
  • 健康食品やサプリメントを摂取している方は、体調不良で病院へ受診される際に必ず内服しているしていることを伝えましょう

まとめ

健康食品・サプリメントの特徴や健康被害等についていかがでしょうか。

副作用のリスクがあることを知った上でそれを上回るメリットがあると考えられれば摂取しても良いと思いますが、個人的に勧められるようなものはほとんどありません。

摂取される際にはよくご自身で調べ、納得できるものを選びましょう。