内科医ゆらの育児ブログ

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血圧の薬はいつ飲むのが良い?

1日1回の血圧の薬はいつ飲んだらいいの?という質問をよく聞きます。

色々な意見があると思いますが、最近の研究結果を踏まえ個人的な意見をお伝えします。

(医療関係者向けかもしれません)

結論としては

血圧を下げる薬の効果は就寝前が一番効果が高そうですが、個人によって最適な服薬タイミングは異なると考えられます。

 

夜間の血圧が高いことや早朝の血圧の急上昇が脳卒中や心疾患のリスクと分かっていることからは、就寝前に飲む方が理にかなっていそうですが注意点もあります。

 

血圧を下げる薬を寝る前に内服と起床後に内服を比較した研究では、就寝前に内服した方が血圧の低下作用や心不全脳卒中のリスクを減らすことが示唆されています。

entire daily dose of antihypertensive medication at bedtime may reduce risk of cardiovascular events and death compared to upon awakening in adults with hypertension 
Eur Heart J 2020 Dec 21;41(48):4565)

 

その一方で、

別の論文では寝る前の内服と起床後の内服で、心筋梗塞脳梗塞による死亡は変わらないといった結論になっています。

しかしこの研究では就寝前の内服で内服を忘れている患者が多く、それが結果に影響をあたえている可能性があります。

evening dosing of antihypertensive medication may not reduce risk of composite of vascular death and hospitalization for nonfatal myocardial infarction or stroke compared to morning dosing in adults with hypertension 
(Lancet 2022 Oct 22;400(10361):1417)

 

まとめ

上記の結果だけをみると内服を忘れずに飲める自信のある方は就寝前に飲んだ方が効果は高そうです。

一つ心配な点は夜間の血圧が低い方が夜間に薬を飲むと血圧が下がりすぎて脳梗塞などを起こしてしまうリスクがあることです。

なかなか寝ている間に血圧を測定するのは難しく、評価が困難であることが悩ましいところです。